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さて移籍の決まってしまった大和、ネット上では批判的な意見は少なく、どちらかというと、移籍しても頑張ってという意見の方が多いですね。やはり不遇な起用方法からの同情というのもあるのかもしれないですね。
同リーグのライバル球団、しかも来年優勝を狙えるポジションまで成長してきた横浜DeNAへの移籍は、阪神の戦力低下とライバル球団の戦力アップでダブルでダメージが効いてきます。非常に残念な結果ではあったのですが、今後対戦相手として立ちはだかるDeNA/大和は、阪神タイガースの脅威になるのでしょうか?少し考えてみました。
守備面
まず、守備面に関しては相当脅威でしょう。二塁・遊撃・外野どこを守られても、何度もヒットを損させられる場面が増えてくると思います。そう、今まで阪神が大和に助けられてきたように。
守備指標のUZRを見てみると(あんまりこの指標好きじゃないんですが)、内野のライバルになりそうな遊撃レギュラーの倉本は-17.0、成長著しい二塁レギュラー候補の柴田は+3.4です。大和は二塁+6.8、遊撃+8.2なので特に遊撃手を守らせれば、一塁/ロペス UZR+8.4、二塁/柴田 UZR+3.4、三塁/宮崎 +10.6、遊撃/大和 +8.2となり、可也堅い守備陣形が出来上がります。(なんでUZRマイナスで鳥谷ゴールデングラブだったんだろう?)
大和のUZRが意外と低いですが、UZRは率ではなく量で表されるため、今年の出場機会でこれだけの数字を叩き出すのは脅威であるといえます。
更に、外野も12球団一のUZRを17.7誇る中堅/桑原 、右翼/梶谷 UZR+2.9、左翼/筒香 UZR-2.8と、筒香は打撃特化選手だからよいとして、指標的には固い布陣。いつぞやベイスボールと揶揄されていた守備の酷い球団のイメージが嘘のようです。やはりここ二年で出てきた桑原と宮崎の存在が大きいですね。
倉本はUZRこそ低く、守備範囲は狭いものの、捕球と送球に関してはラミレス監督は絶対の信頼を寄せており、大和は遊撃手で使う予定のようですが、今年の起用方針からみても二塁/大和の方が現実的かもしれないですね。倉本を二塁にコンバートとかもありえるのかな?
打撃面
一方で、打撃面に関してはどうでしょうか?確かに横浜は長年二遊間のポジションに不安を抱えており、阪神に移籍した山崎憲、石川と上位打線におくといまひとつ機能しない選手がここ数年中心にいました。
近年のドラフトで倉本を獲得したことにより、遊撃手は固定に成功し、二塁手がやはり穴で、今年もヤクルトを自由契約になった田中浩康がスタメンに多く名を連ねましたが、二年目の柴田が成長を見せつつある。
ここに大和が入ってくるのですが、次のようなパターンが考えられます。
- 遊撃:倉本、二塁:大和
- 遊撃:大和、二塁:柴田
- 遊撃:倉本、二塁:柴田
打撃重視であれば①、守備重視であれば②でしょう。③はまあ今まで通りということで。この三選手に共通して言えることは、このタイプの選手にしては誰もが一/二番打者適正が低いということなんですね。
まず、倉本はフリースインガー。今年の打率の.262に対し出塁率は.292、IsoD(出塁率 - 打率)が.030程度しかなく出塁能力は高くない(2016年も同様)、三振も毎年100三振近くで非常に多い。また、足も余り使えず、盗塁もできない。勝負強い打撃に特徴があるのですが、現在の起用どおり下位打者においてこそ活きる選手でしょう。
次に、柴田。まだ成長途上ではあるのですが、こちらも今年248打席に対し三振50と非常に多い。IsoDはまあまあ、試合を見た限りにおいてはバントは得意、但し、盗塁はできるタイプではないようですね。守備は大和ほどではないものの素晴らしいものがあります。
レギュラークラスかというと、まだまだ成長が必要だとは思うので、現状脅威というほどではない。大和が二塁に入る上記②が基本形かと思います。但し、そうなった場合には出場機会は守備固め、代走、大和休養時と成長機会が非常に限られてくるでしょう。
そして、大和は以前の記事でも触れていた通り、攻撃面のスペックは以下の通り。スイッチ二年目で打撃が改善するとややこしくなってくるのですが、現状二番打者で使うのにはいまひとつ物足りない。
【打撃】
- 右打席はプルヒッターで外野の間を抜く打球も期待できる。
- 左打席は現状基本的に流しての単打
- いずれにせよ、外野手の頭を超す打球は望めない。
- 期待打率は.250~.280
- 打席での粘りはそこそこも、IsoD.050程度と出塁能力は平凡。
- バントは上手いも、ケース打撃は上手くない。
- 疲れが溜り下半身に粘りがなくなると、不振期間が長い。
【走塁】
- 走塁:足は速く、ベースランニングは上手い。
- しかしながら、盗塁は成功率が低く、下位打線の場合余り積極的にも仕掛けない。
ということで、守備面ではかなりの脅威となるものの、攻撃面においては倉本を下位で使うとなると出塁率のそこまで高くなく、打率も盗塁能力も高くない桑原との1/2番はそこまでの脅威にはならないと管理人は見ています。もちろんスイッチ二年目で打撃が成長すれば別ですが。
仮に柴田:二塁、大和:遊撃となった場合でも、今度は上位打線・下位打線とも迫力不足になる。横浜はクリーンアップが素晴らしいだけに、どれだけ彼らの前で出塁できるかが勝負の分かれ目になるのですが、広島の田中・菊池、阪神の上本・糸井・俊介・鳥谷等の上位打線候補の出塁能力と比べると一段落ちてしまいます。
阪神のレギュラー筆頭格がいなくなり、控え選手としても素晴らしい守備力を誇る大和がいなくなることは、阪神にとってはいずれにせよ大ダメージ。選手層の薄い横浜にとっては大きな補強となるのですが、横浜打線の問題点(リードオフマンの出塁能力)を解決するに至るかというとそこまでの脅威にはならないという(という風に考えてしまいたい(泣))、というラ米の虎的見解です。
選手層の強化
高田GMの発言にもあったとおり、一番の狙いはここでしょう。開幕直後から倉本・桑原は調子が上がらなかったが、代替選手が見当たらず使い続けざるを得なかった、とのこと。
headlines.yahoo.co.jp倉本の代替の遊撃手は白崎・飛雄馬、桑原の代替の中堅手は荒波・関根程度しかおらず、調子が上がらないからといってなかなか替えることができず、二人の調子が上がるのを待つ必要があった。結果、倉本・桑原は全試合出場を果たしたわけなのですが、成績はリードオフマンタイプを置きたい遊撃手と中堅手としては十分とはいえない成績。
彼らが調子を落としたときに遜色のない活躍のできる選手が必要だったのだと思いますが、正に中堅手・遊撃手とも完璧にこなせる大和はピンズドの補強だったのでしょう。
この選手層の厚みが強化されたことは、長いシーズンを戦う上でかなりのプラスに作用するはずです。まあでもこの起用方法だと阪神時代と変わらなくなるため、大和としては当然レギュラーを狙いにいくでしょう。
まとめ
ということで、大和がライバル球団に加入したことで、どの程度脅威となるか考えてみましたが、守備面や選手層の観点では脅威にはなるものの、レギュラーで使うとなると来年以降スイッチの成長がない限りにおいては、打線の迫力的には大した影響はないかつ育成選手の成長の阻害にも成りかねないかなというのが、ラ米の虎としての見方です。
来年の横浜DeNAの想定される打線としては以下のとおりです。
(今年) 桑原・柴田・ロペス・筒香・宮崎・戸柱・梶谷・投手・倉本
(来年①) 桑原・大和・ロペス・筒香・宮崎・戸柱・梶谷・投手・倉本
(来年②) 桑原・柴田・ロペス・筒香・宮崎・戸柱・梶谷・投手・大和
ね、あんまり印象変わらないでしょ。むしろ、柴田の伸び代や倉本の勝負強さを捨てることになり、劣化する可能性すらある。戸柱・倉本と下位打線に打率こそ高くないけど勝負強い打者がいるのは結構いやだったんですよね。
阪神は逆に鳥谷がいくら出塁しようと、大和→梅野の流れは点が入る気がしなかった。
阪神が今年横浜DeNAをある程度得意にしていたのは、基本的にただ打つだけのチームで広島のようないやらしさがないからだと思うんですよね。盗塁数はリーグ断トツ最下位の39(広島112)、四球もリーグ5位の378(広島511・阪神531)。
阪神の投手は基本的に奪三振投手が多い、従い球数も多くフルカウントまで行くことも多くなるのですが、広島のように粘られて四球を選ばれたり、足を絡められ投球を乱される攻めには弱い。これができないところが横浜DeNAが素晴らしいクリーンアップを誇り、リーグ有数の先発投手の頭数を揃えているにも拘らず貯金一桁の3位にしか届かなかった大きな理由かと思います。
この点は大和が入っても解決とはならず、その観点ではちょっと安心している次第です(というか安心したい・・・)
仮に大和ではなく上本だったとしたらこれは大変な脅威になっていたことだと思います。ネバネバ二番打者で散々球数投げさせられ、四球で塁に出したと思ったら対峙する相手がロペス・筒香・宮崎、これはいやですね・・・・
ということで、横浜DeNAの戦力強化の観点からは大和流出はそこまで案ずる必要なし!という風に勝手に整理をし、心を落ち着かせてしまいたいと思います。
むしろ、先述した阪神の課題である大和を7番においた場合の下位打線の迫力不足を、これから出てくる遊撃手の選手が解決してくれれば、阪神にとっても流出がプラスになる可能性すらあります。(と勝手に期待し心を落ち着かせる)
現状7名の選手の名前が挙がっていますが(北條・糸原・植田・西岡・森越・大山・熊谷)、大和流出を踏まえての遊撃手候補の考察は別の記事で書いてみたいと思います。
本日も長文ご覧頂きありがとうございました。
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