阪神タイガースブログ ラテンアメリカの虎

ラテンアメリカ某国在住、虎キチ歴35年。梅雨時期には来年のことを考え始める癖が抜けない弱気な阪神ファンのブログです

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前田大和 フリーエジェント権行使

こちらに引っ越してきて二回目のエントリーになります。本日はフリーエージェントを決意した大和について、考察してみたいと思います。

 

秋季キャンプにも参加せず、熟慮を重ねた上で、他球団の評価を聞きたいということで、フリーエージェントを決断しました。現在のところの報道ではオリックスが3年3億円、DeNAも同様の条件で獲得に向かうとみられています。ただし、阪神との決別をした訳ではなく、飽くまで他球団の評価を聞きたいということで、残留の可能性も残されています。

 

 

阪神としては既に複数年・年棒upで下交渉済み、他球団の状況を踏まえ更に条件upしており、契約期間4年、年棒は恐らく1億円程度、球団としては最大限の評価を提示しており、F/A交渉期間中の再交渉はしないとのことです。他球団と比較しさらに条件を変えるということでは、大和に対し交渉を持ち掛けているように見られる為、どうしても残ってほしいという意思を示すために始めから最終条件というのを提示しているとのこと

この始めから最大限の条件を出す交渉方針自体はよいのではないかと思いますが、差が少しだった場合に最後まで交渉の余地が残されている方が交渉戦術上はよいので(いわゆる商契約におけるFirst Refusal Right)、もう交渉しないと言い切ってしまうのは、交渉戦術上は余りいい戦略と言えないと思います。

 

では、阪神タイガースにおける大和の重要性に関し考察してみたいと思います。

 

大和の最大の特長は球界屈指の守備力、内野を守らせても外野を守らせても超のつく一流選手です。2014年の日本シリーズのソフトバンク戦でヒット性のあたりを悉く中堅手大和がアウトにしてしまったのは記憶に新しいと思います。内外野でここまで守備力の高い選手でいうと、かつて阪神に所属した平野が思いつきますが、平野は遊撃手はできず、さらに外野・二塁手とも大和の方が安定感があり、夫々のポジションの名手はいくらでもいますが、内外野ともにここまでの名手というのは管理人の記憶の中からは思いつきません。

 

打撃面も悪くなく、一年に一定の期間は覚醒モードに入り、左中間へのあたりを中心に非常に勝負強い打撃を見せます。さらに今年はスイッチヒッターに挑戦し、天才的なセンスで一年でものにし、課題の右投手対策を解決しつつあります。

 

一方で、一番不安視されるのがシーズン通して安定した成績を残す体力。打撃面ではいい状態が長続きしないパターンが続いており、疲労で下半身に粘りがなくなってくるとポップフライを量産する場面を多く見ます。

 

また、ケース打撃もさほど得意ではなく、基本的に右打席はプルヒッター、左打席は流し打ちなので前述のポップフライ癖も考えると、本来二番打者で使いたい打者なのですが、今期は七番打者での起用が殆どとなりました。走塁技術は高い割に盗塁が上手くないことも上位で使われなかった一つの原因だと思います。やはり上本と比べてしまうと、打力、打席での粘り、ケース打撃、得点圏での打撃、盗塁能力ともに二番打者としては物足りないものを感じます。

 

但し、まだスイッチヒッター変更一年目です30歳からの挑戦は右打席でのヒントになればくらいの感じで見ていましたが、左打席で単打が多かったものの.276の成績を残し、右打席でも得意の左投手を中心に対戦したことで.287と規定打席には達していないものの、シーズン通算.280はキャリアハイ、今年であれだけできたのですから来年はまだ伸び代があると管理人は考えます。打順の影響で盗塁企画も少なかったものの、上位打線であれば盗塁企画も増えるでしょう。

 

という訳で、管理人の考えている大和のスペックは以下の通り。

 

①打撃:

  • 右打席はプルヒッターで外野の間を抜く打球も期待できる。
  • 左打席は現状基本的に流しての単打。
  • いずれにせよ、外野手の頭を超す打球は望めない。
  • 期待打率は.250~.280
  • 打席での粘りはそこそこも、IsoDは.050程度と出塁能力は平凡。
  • バントは上手いも、ケース打撃はそこまで上手くない。
  • 疲れが溜り下半身に粘りがなくなると、不振期間が長い。

 ②走塁:

  • 足は速く、ベースランニングは上手い。
  • しかしながら、盗塁は成功率が低く、下位打線の場合余り積極的にも仕掛けない。

③守備:

  • 内野:遊撃・二塁とも神レベル。判断もよい。フルで出場すればGGは確実。実は三塁手は苦手。
  • 外野:守備範囲と打球判断は神レベル。肩はそこまで強くないも、フルで出場すればGGは確実。

 

という感じの選手なのですが、現在の阪神に必要な選手かどうか。結論から言うと大必要な選手です。しかもレギュラー筆頭候補として。

 

今シーズンは鳥谷も遊撃手への再挑戦を経て北條vs鳥谷の形でスタートしましたが、金本監督の方針で昨年ブレークした北條を早々に遊撃手のレギュラーに据えました。そして二塁手はキャンプから調子のよかった上本、中堅手はF/A移籍の糸井が開幕スタメンを獲得、大和はベンチからのスタートとなりました。キャンベルが出遅れたこともあり、鳥谷はサードに正式にコンバート。この北條に早々にレギュラーの座を与えたことが、後の歪みの原因となっています

 

即ち鳥谷が遊撃手をまだできるとすれば、大山を三塁手で使え、大和の流出もそこまで痛くはない。しかしながら、鳥谷が正式に三塁手となってしまったことで、来年スタメンで積極的に使いたい大山はポジションなし、一方で大和が抜けてしまうと遊撃手は穴だらけということになってしまいます。それだけ、北條が今年結果を出せなかったことに伴う歪が現在の編成に大きく影響しています。

 

結果論と言ってしまえばそれまでで、大山のここまでの伸びや北條のここまでの不振は想定できなかったでしょうし、仮に北條が打撃で結果を残し守備も普通にこなしてくれれば大型遊撃手の誕生となったため、チームのストロングポイントを作れるところでした。しかしながら、オープン戦最後には調子を崩しており、この辺も含めて見極めをするべきだったと思いますが、三塁手候補がいなかっただけにやはり結果論だったのかもしれません。

 

なので、首脳陣の判断が悪かったと言いたいのではなく、いつまでたってもなかなか噛み合わせがよくなんないなというのが、常日頃思っているところです。

 

大和以外の遊撃手候補たちは以下の通り。

 

  • 北條:大型遊撃手の可能性を持ち、ポテンシャルはチーム1。一方で打撃は完全に迷走中。出塁率も悪くないので、足はないものの今岡型一番打者まで期待される。守備は守備範囲はよくなってきており、送球も強い。一方で球際の捕球が圧倒的に悪い。今年の打撃及び守備の状態では、我慢してでのスタメン出場も難しい。更なる成長が必要。肩が強いので将来的には二塁で使うべきと管理人は考えています。

 

  • 糸原:打撃面は選球眼もよくチャンスメークができ、勝負強く候補の中では一番期待できる。しかし、遊撃手の守備は一歩目の判断、守備範囲、送球までの時間ともに遊撃手のそれではない。これから守備が向上すれば別だが、守備の要の遊撃手で使うのは管理人的には反対。

 

  • 植田:守備・打撃ともにまだまだ成長が必要も、ポスト大和には一番近い選手。打撃さえ良くなれば、盗塁のできる大和としての期待がかかる。ほんと打撃次第ですね。

 

  • 森越:野手の選手層的に来年もチャンスをもらったものの、レギュラーとして考えるのは厳しい。

 

  • 熊谷:守備と走塁はプロレベルのようですが、大学での三振率が慶大岩見ばりと打撃はこれから数年かけてよくしないといけない状態。とても一年目からレギュラーとしては計算できないでしょう。

 

ということで、大和がいなくなったとしても積極的に成長込みで使いたいと思わせるレベルに到達している選手がいないんですよね。去年の高山・原口・北條のように。それに加え今年は打席数は少ないものの大和は結果を出しており、守備が神レベル、打率.280残せるのであれば余裕で大和がレギュラーでしょう。

過去の藤本が流出した際は平野が、平野が流出した際は西岡がいたため、余剰戦力となってしまいレギュラーとしては評価できなかったのですが、今回のケースは違います。もうこいつを積極的に起用したいという選手がいない以上、攻撃面の不安点はあるものの、やはり大和がレギュラー筆頭候補です。

 かといって安泰という訳ではなく、上位打線で使うには盗塁能力、ケース打撃、そして体力には不安がある為、飽くまで絶対的レギュラーではなく、レギュラー筆頭候補という評価でしす。プロスペクト選手もいますので。

構成としては大和にまずはレギュラーでばしっと座ってもらう一方、体力的にフル出場は難しいので、その座を打撃・守備が成長した大型遊撃手北條、守備を向上させた打撃には定評のある糸原、打撃を向上させた守備・走塁に定評のある植田という形でチャレンジをしていき、レギュラー争いをしてもらうというのが美しい恰好です。

 

ということで、大和には来年も遊撃手のレギュラーとして守備面を中心にチームを引っ張っていってほしいのですが、問題はチームがどのように大和のことを評価しているか。即ち、金本監督が大和のことをどのように評価しているかということ。

 

今年の起用方法を振り返ってみると、まず開幕スタメンは大ブレークの可能性のあった北條と打撃面で調子のよかった上本、F/Aの糸井だったので、大和をスタメン出場させなかったことは納得はいきます。しかしながら、その後の北條の不振の際にも本職ではない糸原を優先起用、上本の怪我での離脱の際にも西岡を優先起用と、結局は糸原が怪我で離脱するまでは出番が回ってきませんでした。

それまでも打撃で結果を残していなかったわけではなく、2割後半の打率を右/左打席ともしっかりと残していました。極めつけは、クライマックスシリーズの最終戦で、リードを許した場面で早々に糸原に切り替えられたこと、これは結局打撃面では全然信頼を置かれていないという印象を大和は持ったのではないかと思います。

 

管理人としては遊撃手は守備の要、ある程度打撃が期待できる守備の名手を置くべきだと考えています。即ち大和です。従い、いかに糸原がチャンスで打とうと、北條がホームランを打とうと守備が一定レベルに到達しなければ、遊撃手で起用すべきではないと考えています。しかしながら、上記の起用方針を見ている限り、金本監督はまず打撃重視その中でどうにか守れる選手を起用しているようにしか見えません。どちらを軸に評価されるかなのですが、仮に管理人の考える方針であれば(守備が第一・但し最低限の打撃は必要)大和としては阪神に残る可能性は高いと思います。一方で、今年のような起用方針で打撃を優先させるようであれば大和は仮にレギュラー確約のような条件が他球団でなかったとしても出ていくのではないかと思います。

すなわち、大和の一番の売りであり強みである守備をレギュラーとしての条件として軽視している球団は選ばない、というのが管理人の予想です。

 

阪神の場合、「最大限の評価をしている」という球団の説明の中にこの要素がどれぐらい含まれていたかですね。年棒や契約年数ではなく起用法にかかわる問題なので、フロント任せにせず金本監督も交渉に加わるべきだったと思いますが、CS後の練習の際に打撃指導をしていたようですので、そこで適切なメッセージを監督からも伝えていたことを願います。

もし自分が大和だったら、糸原にスタメンを取られなかなか出番が回ってこなかったときに、「あのヒット俺だったらアウトにしてたわ」「確かにあんな強い打球打てないかもだけど、チャンスメークはそこそこやれるで」、と考えながらベンチに座ってたと思います。

 

確かに大和を7番に置くと打線は弱い、糸原を使いたくなる気持ちもわかります。ただ、大和はスイッチ二年目まだ打撃がよくなり二番を打てるようになるポテンシャルを秘めていること、そして他の選手もまだまだ成長しなければいけない中、大和には絶対残ってほしいと管理人は願っています。

残ってもらう上で重要なことは、大和としてどのような成績やパフォーマンスを残せばレギュラーとして使うということを明確に説明することだと思います。つまり大和の起用に関するもやもや感を取り除いた上で、それに納得をしてもらい、更に言えば競争環境をきっちりと受け入れてくれるのであればお互いにとってよい形になるのではないかと思います。

 

一方で仮にレギュラー確約が大和の残留条件であれば出て行ってもらった方がよいと思います。年齢的にも打撃スペック的にも絶対的レギュラーではないので。

 

恐らく、出場機会でいえば安達が病気、大城・西野では心許のない二遊間両方空いているオリックスが一番多く、一番移籍の可能性が高いと思います。DeNAは倉本と売り出し中の柴田がいる為、レギュラー確約という感じではないと思うんですよね。。。まあ倉本の守備もひどいですが。

 

いずれにせよ、大和の選択肢は年棒や契約年数ではなく大和というプレーヤーをどのように評価し、どのような起用を考えているかに尽きると思っています。もし金本監督が今年の大和の打撃の成長を評価せず、レギュラーとして低評価、今年のような起用法を前提としているようであれば、流出仕方なしと思います。

 

球団が前交渉で金銭面や年数だけではなく、きちんと遊撃手のレギュラーのクライテリアを適切な形で説明していることを願います。

 

本日も長文ご覧いただきありがとうございました!

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