阪神タイガースブログ ラテンアメリカの虎

ラテンアメリカ某国在住、虎キチ歴35年。梅雨時期には来年のことを考え始める癖が抜けない弱気な阪神ファンのブログです

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阪神タイガース 2017年ドラフト戦略①

 

皆様いつもご覧頂ありがとうございます。元新在家の住人さん、コメント頂きありがとうございます!返信いたしましたので宜しければご覧ください。

 

 

さて、今年もドラフトまで後一週間を切りました。既に我が阪神タイガースは早稲田実業/清宮君の一位指名を早々に発表していますが、どれくらいの指名重複があるか見ものですね。

 

それにしても、ドラフトはいつもドキドキしながら楽しみにしているものの、目玉選手は抽選で外れる確率の方が高く、ドラフト後は略残念な気持ちになることが多いことから、楽しみでもあるのですが、その残念な気持ちを迎えるかと思うと憂鬱にもなる今日この頃です。宝くじであれば、どこかの知らない誰かがお金持ちになってしまうだけなので、特に気にすることはないのですが、ドラフトの場合ライバルチームにほしかった選手が行ってしまうので尚更憂鬱になってしまいます。

 

 

さて、今日は具体的な指名希望選手の考察に入る前に、ドラフトによる補強に関する全般的な管理人の意見を書いてみたいと思います。本日は若干長めになりますが、お付き合いいただけますと幸甚です。

 

 

①即戦力候補としてではなく育成選手としての獲得

 

まず、第一にドラフトでの戦力補強は特定の1位クラスの即戦力選手を除いては基本的に育成選手を獲得するものと考えています(当たり前かもしれませんが)。去年などは投手の当たり年で一年目からエースの器になれそうな選手がごろごろしていたので(結果として各球団期待ほどの活躍ではありませんでしたが。Bf山岡、Bs浜口、E藤平くらいですかね。)、即戦力としての投手の獲得に向かう戦略でよかったと思うのですが(向かいませんでしたが)、基本的には繰り返しになりますが育成選手の獲得を計画をもってやるべきだと考えています。

 

従い、今年の阪神の一軍選手の成績で、二遊間が足りない、先発投手が足りないのでドラフトで即戦力を指名すべきとの意見を聞きますが、一年目からローテーション・スタメンで活躍するのはよっぽどの目玉選手でなければ期待しすぎであり、活躍してくれれば儲けもの。先発、中継ぎ、リードオフマンタイプは一年目から活躍することも多いですが、体ができていないうちに酷使し怪我で選手生命が短くなる選手も多くいます。特に投手。

 

基本は大卒は3年目、高卒は7年目の25歳までを目処に投打いずれのポジションでもレギュラー(ローテション・抑え・スタメン)を担ってもらうべく、育成計画と併せて獲得すべきだと考えています。まあ、投手に限って言えば、アマチュア時代からチームで一番野球が上手い選手が四番エースであることが多く、目玉選手としてドラフト1位/即戦力として獲得されるケースが多いので、野手よりも1-2年早い段階での定着が望まれます。

 

勿論、その年の目玉、即レギュラーレベルの候補(T鳥谷、E岸、G菅野、C大瀬良、F有原、H田中、等)がいれば、是非チャレンジしてほしいと思います。

 

②纏まりよりポテンシャル重視の指名

 

但し、これは育成のサイクルがうまく行っている場合で、戦力が安定しているため無理して即戦力を取る必要のない体制ができていることが前提の話。来年を戦う戦力もままらない、育成がうまく進んでいないのであれば、即戦力へのアタックをせざるを得ないのですが、その場合は後述する「ポテンシャル」よりも一年目から一軍出場できる「纏まり」を重視せざるを得ず、伸び代が少ないため将来的な戦力整備に支障をきたしてしまう結果となります。ソフトバンクなんかは充実した戦力の中昨年のジャスティス田中以外はここ3年全て高校生指名、広島もレギュラー戦力が充実しているため、ポテンシャル重視の指名が目立ちます。

 

逆に、2014年の中日・ヤクルトなんかは即戦力に走った結果、悲惨な状態です。育成環境の問題もあるかもしれませんが、即戦力外ドラフトと揶揄されるほど、わずか3年の間に戦力外選手が続出しており、即戦力で取った社会人選手も殆ど機能していない状態で、現在の低迷に繋がっています。

阪神に目を向けてみると、優勝した2003年以降の阪神は2003年こそ鳥谷・筒井の獲得に成功したものの、その後は即戦力選手を求め、纏まったタイプの指名が目立ちました(2004能見・岡崎、2005岩田・金村、2006小嶋・上園、2007白仁田・石川、2008蕭・柴田、2009二神・藤原、2010榎田・・・・・)。ダルビッシュ・涌井・前田健太・田中マークン等の獲得のチャンスはあったのですが目もくれませんでしたね。

 

2010年あたりから、一二三を二位指名するなどポテンシャル重視の指名が増えてきたと思いますが、上記の2004~2010年の期間で現在も一軍バリバリで活躍している選手は能見・岩田・上本・大和くらいなもので、上本は中位、大和は高卒ポテンシャル採用なので、即戦力ドラフトが殆ど機能していなかった形になります。上記の期間の選手は大卒であれば30~36歳の選手で本来であれば脂も乗ってバリバリの主力として活躍してくれていなければ困る年ですが、この纏まりを重視したドラフトで結局アマチュア時代から実力が伸びず戦力にならなかった結果、中堅どころが殆どいないところが、現在の阪神の戦力空洞化の原因となっています。

 

ポテンシャル重視での指名を重視すると、より重要になるのがチームのスカウティング能力。アマチュア時代の単純な成績だけではなく、ポテンシャルを見極める目が重要になってきます。どんな選手にポテンシャルがあるのかは、野球素人の管理人には計り知れないのですが、例えば日ハムや広島のスカウトなんかは性格面や普段の行動、家庭環境の調査なんかもするようです。即ち、ポテンシャル採用された選手はプロ入り後の厳しい練習環境の中での人一倍の努力が不可欠であり、それに耐え得るだけの精神力や努力ができる才能があるかをしっかりとプロ入り前から見極めているのではないかと思います。広島の鈴木誠也や薮田の二位指名なんかは見事としかいいようがありません。

 

③不足ポジションの補充より実力重視の指名

 

どこのポジションが足りていないから指名するという傾向があると思いますが(特に左腕と捕手、遊撃手)、無理にポジションの穴を埋めるような指名は避けるべきだと考えます。先述したとおり、ドラフトの結果がでるのは翌年ではなく3-5年後、そう考えると無理にポジションを埋めるべく、よりポテンシャルの大きい選手がいるのに穴埋めの選手を前倒しで指名するべきではなく、3年くらいのスパンを1クールとしてその間に各ポジションを整えていくべきだと考えます。

 

勿論穴のある状態では戦力整備はできませんので、同程度の期待値の選手であれば補強箇所を優先して指名をしてほしいと思いますが、例えば左腕が足りないからといってより実力の上の右投手の指名を見送るということは避けるべきと考えます。広島も左腕戦力は外国人のジョンソンくらいしかいませんが、実力のある選手であれば左腕でも右腕でも関係ありません。

 

④10年の計

 

冒頭に書いた、即戦力ではなく育成重視での指名と関係するのですが、チーム作りを進める上では、各ポジション10年を1サイクルとして考えるべきというのが管理人意見です。まず、指名選手を育成目的で指名したとして、一軍戦力(ローテ・スタメンレベル)になるのには大卒であれば3年、高卒であれば6年程度は必要です。特に野手は時間がかかります。現在の各チームの主な一流野手を見てみると、一軍でレギュラーとして定着したのは以下の通り。

 

* 広島:丸(24歳/高卒6年目)、鈴木(22歳/高卒4年目)、新井(25歳/大卒3年目)、菊池(24歳/大卒2年目)、田中(26歳/社卒2年目)

* 横浜:梶谷(24歳/高卒6年目)、筒香(23歳/高卒5年目)、宮崎(28歳/社卒5年目)

* 巨人:坂本(21歳/高卒3年目)、長野(26歳/社卒1年目)、阿部(24歳/大卒2年目)、陽(24歳/高卒6年目)

* 中日:平田(26歳/高卒8年目)、大島(27歳/社卒3年目)、荒木(24歳/高卒6年目)

* ヤクルト:山田(22歳/高卒4年目)、畠山(30歳/高卒10年目)、川端(25歳/高卒7年目)

* ソフトバンク:内川(22歳/高卒4年目)、柳田(26歳/大卒4年目)、松田(25歳/大卒3年目)、今宮(21歳/高卒3年目)、中村晃(24歳/高卒6年目)

* 楽天:茂木(24歳/大卒2年目)、銀次(25歳/高卒7年目)、松井稼(21歳/高卒3年目)

* 西武:秋山(25歳/大卒3年目)、中村(25歳/高卒7年目)、浅村(23歳/高卒5年目)、山川(26歳/大卒4年目)

* オリックス:T-岡田(21歳/高卒3年目)、中島(22歳/高卒4年目)

* 日ハム:大谷(20歳/高卒2年目)、中田(22歳/高卒4年目)、西川(22歳/高卒4年目)

* ロッテ:福浦(23歳/高卒5年目)、井口(27歳/大卒5年目)

 

 

 

高卒の目玉ドラフト一位選手は早い段階での定着が見られるものの、基本的には24歳~26歳くらいの年齢でのレギュラー定着が目立ちます。

 

逆にチームの軸となる投手はドラフト一位で獲得しているケースが多いため、大体どこのチームのエース級の投手は大卒であれば1年目から3年目、高卒であれば3年目から5年目に頭角を表しています。

 

10年を1サイクルとして考えるのは、次の理由です。入団から10年経過した場合、高卒選手であれば28歳、大卒選手であれば32歳になります。これらの選手の後継者を考えた場合に、上記の通り高卒で7年、大卒で3年程度の25歳前後まで一軍レギュラー定着に時間がかかるとすると、夫々のレギュラー選手と後継者の年齢の関係は以下になります。

 

ケース①:レギュラー高卒(35歳)→後継者高卒(25歳)

ケース②:レギュラー高卒(31歳)→後継者大卒(25歳)

ケース③:レギュラー大卒(39歳)→後継者高卒(25歳)

ケース④:レギュラー大卒(35歳)→後継者大卒(25歳)

 

近代医学の発展により、選手生命が延びてるとはいうものの、一部の例外を除いては一流選手としてのピークは35歳前後とみるのが妥当、その際に25歳前後で一流選手への門を叩かんとしている選手が後継者となるのが理想的です。勿論、理論通りにはいかないのですが、傾向の話です。つまり、現在のレギュラー選手と時期レギュラー候補は10歳程度差が開いていることが理想的であり、指名のタイミングとしては、レギュラー選手が28歳前後のときに高卒の後継者、高卒選手が頭角を現さない場合、32歳前後のときに大卒の後継者の獲得が理想的といえます。上記のケースでいうと、②は年齢が近すぎレギュラー選手が元気な状態でいる可能性が高く、後継者は出場機会が限られるため成長の妨げになる、逆にケース③は後継者が成長するまでに引退・劣化している可能性が高く手配が遅すぎるということになります。

 

阪神で言うと、福留・鳥谷・糸井・能見・高橋・藤川・岩田が35歳以上のレギュラー選手(岩田は元レギュラー)となるのですが、金本政権になって、ようやく福留(40歳/左翼)→高山(24歳)、鳥谷(35歳/遊撃)→北條(23歳)、鳥谷(36歳/三塁)→大山(23歳)、能見(先発/38歳)→岩貞(先発ローテ/26歳)の手配ができたところであり、年齢差からみても遅きに失してる形になっています。

 

そして来年37歳になる糸井の後継者は不在(横田を期待していたのですがまずは二軍復帰を)、中谷が出てきましたが、赤星引退、大和内野復帰以降ずっと埋まっていなかった中堅手の穴を埋めている形かつ、選手としてのタイプが異なるため(糸井は1-3番、中谷は4-6番タイプ)、後継者としては扱えません。岩田の後継者も横山に期待したいところですが、まだ一軍戦力として計算できる段階には来ていない、且つ岩田も限界が近づいています。高橋(S.U./34歳)→岩崎(26歳)、藤川(S.U./37歳)→石崎(27歳)はある程度理想どおりにいっていますが、いえることはどの後継者を取っても、前任者の劣化が始まっているにも拘らず、まだそのレベルを越えるところまで到達していないということです。今後、阪神が常勝体制を作れるかどうかは彼らの成長に懸かっていますので、一層の奮起が期待されます。

 

そして、そろそろ後継者の手配が必要な選手で言うと、上本(二塁/31歳)、桑原(S.U./32歳)というところですね。上本には糸原という後継者がいますが、若干年齢が近すぎ、且つリードオフマンとして上本のように盗塁が狙える選手かどうかはまだ判らず、今ドラフトでよい選手がいれば、獲得はありだと思います(焦る必要はないも)。3年後はウエポンも34歳なのでそろそろ世代交代の時期でしょう。

 

ということで、ドラフト戦略を考える際には、10年単位のサイクルで主軸選手を整備していくべきというのが管理人の考え方です。

 

一方で、当然チームには主軸以外の選手(代打・代走・守備固め・ローテ谷間・敗戦処理・怪我の際のバックアップ)が必要であり、これらの主軸以外の選手が充実していることが選手層の充実に繋がりますので、飽く迄上記の考え方は主軸選手に関してです。一芸選手や纏まった選手も中位-下位を中心に積極的に指名・育成していく必要があります。

 

では、何故こんなに世代交代が遅れているのか検証してみました。

 

以下の表は、優勝した2003年からの投手・野手の推移です。色付けは年齢分布を表しています(文字が小さくてすみません)。

緑(若手):~25歳、青(中堅):26歳~30歳、赤(ベテラン):31歳~35歳、茶(超ベテラン):35歳~、黒:外国人

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野手に関しては、この表を見ると明らかな通り、金本政権の前までは、レギュラー選手がベテランの域に入り成績が落ちてくると、F/Aや海外帰りの中堅選手で補強し、またすぐベテラン選手になるのでまた同様にF/Aや海外帰りで補強するというのを繰り返しており、緑の若手選手で育て切れたのはゴールデンルーキーとして優先起用された鳥谷だけで、他の選手は殆ど起用すらされていません。結果的に最後の優勝から2015年までの間の10年間でレギュラーとして育った選手は、鳥谷に加え、大和・上本のみ。特に育ちにくい大砲系の選手は、殆ど起用されてきませんでした。まあ、浜中、桜井、林が怪我で伸び切らなかったのが痛かったですね。2005年から2015年までの推移は以下の通り。(v)外部招聘選手

 

捕手:矢野(v)→狩野→城島(v)→藤井(v)→鶴岡(v)

一塁:外国人(v)or新井さん(v)

二塁:藤本/関本→平野(v)→西岡(v)→上本

三塁:今岡→新井さん(v)→新井良(v)

遊撃:鳥谷

右/左翼:檜山/金本(v)→マートン(v)/金本(v)→マートン(v)/福留(v)

中堅:赤星→俊介/柴田/大和

 

投手に関しては、井川・藤川という球界を代表するエースと守護神の育成に成功しましたが、井川・藤川以外では、トレードで下柳・久保の獲得、メッセンジャー・スタンリッジ等の外国人頼み、若手の中継ぎも大事に使わず久保田・西村・榎田の故障に繋がってしまい、下柳・福原・安藤が40近くまで頑張ってくれたものの、現在、生え抜きでレギュラーとして長年活躍ているのは能見と岩田とのみという形です。これは小嶋・白仁田・蕭・二神・榎田(まあまあですが)と即戦力ドラフト一位投手の育成に失敗してきたことが大きく響いています。投手に関しては特に若手を起用してこなかった訳ではないと思うのですが(杉山・江草・三東・小嶋・石川・西村・秋山・榎田・・・)、育成しきれませんでしたね。

 

この状況は2003年/2005年の優勝以降、常に優勝争いを求められる体制になった中で、次世代選手への世代交代よりも短期的な勝利が優先されてしまった結果でしょう。それはドラフトにも反映され、本来育成目的であるべきドラフトにおいて、特に声の大きい岡田政権の際は即戦力選手の獲得が至上命題となり、ポテンシャルの大きい選手ではなく中途半端な選手しか取れませんでした。また、OB選手や長年チームにいる結果の出ていないコーチを長年重宝し続けた結果、育成体制もままならない、そして一軍の起用も若手に機会を与えず、成績が上がらなくても調子は上向いているとし実績のある選手を起用し続ける、さらに一軍と二軍のコミュニケーションが悪いと、とても継続的に新しい選手を輩出していく体制にはほど遠い状況でした。

 

節目が変わったのが、一つは藤浪の獲得。高校生投手の育成に成功したことにより、松田・歳内・岩崎等若手投手の起用が増え始め、またドラフトでも北條・横田・陽川・江越等のスケールの大きい野手の獲得にも着手をし始めました。これは故中村GMの手腕もあるでしょう。そして、自前のチーム構築をテーマとする金本監督になった2016年以降、主軸選手の衰えはあるものの、上記表に占める25歳以下の緑色の選手が激増しました。といってもチームとしてはまだまだで、やはり主軸選手は、投手で言えば能見・高橋・桑原・藤川のベテランとメッセ・マテオ・ドリスの外国人、野手で言えば鳥谷・福留・糸井・上本のベテラン勢となるので、この緑色の選手たちがどこまで伸びてくれるかが、今後の阪神が常勝チームとなるか、やはり駄目だったねと揺り戻しで即戦力の補強に走ってしまうか、3年目の来年が勝負になると思います。まあ管理人としては再来年まで我慢できます(笑)。

 

別の視点で見てみます。他のチームが過去13年(10年サイクル+育成期間3年)のドラフトでどの程度主軸選手(スタメン・先発ローテ・セットアッパー・抑え)を輩出できているか調べてみました。対象は2004~2016年。主軸選手は管理人の独断と偏見に基づきますので悪しからず・・・

見方としては、赤は現役選手、黒は引退選手、灰色で色塗りしてあるのは移籍済み選手です。その他は2003年以前のドラフト指名選手で、現役で主力選手として活躍している主な選手です。

 

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大体各チーム年一人、二人だと多いほう、三人だと当たり年、いないと失敗という感じですかね。やはりパ・リーグがくじ運がよかったにせよ各チームコンスタントに一流選手を輩出しています。やはりF/A流失が多く、資金力にも限界があるチームが多いため、裏を返せば若い選手に出場機会を与えることができ、新戦力の排出に繋がってるのでしょう。交流戦はいつもパ・リーグが勝ってしまう理由も納得がいきます。それにしても日ハムの移籍状況は極端ですね・・・2006年以下の入団選手は全て移籍か引退しています。。

 

ヤクルトが一番少ない7人です。2年前の優勝の際は2004年以前のドラフト獲得選手が元気だったのですが、怪我や劣化に伴い、また近年ドラフトも失敗しており厳しいメンツになっていますね。

 

中日もしかり。2007年以降、育成が滞っており、リリーフやリードオフマンはいるものの、打線の中軸やローテ投手が殆どいません。やはり、大分整理は進んだものの、落合政権の黄金時代のレガシーからの脱却に時間がかかってしまっている状況です。

 

そして、まさに黄金期にある広島、そして万年下位からの脱却に成功したDeNA、この10年のドラフトから排出された主軸選手の多さと質を見ると、資金をかけた補強に頼らずとも強いチームを作れることを証明しており、正にチーム作りはドラフトが基本ということを体現しています。

 

逆の立場にあるのが巨人。過去からのこの傾向(高橋・上原・二岡、等々)なのですが、近年でも裏技を使って、ドラフトでも目玉選手(澤村・長野・菅野)を数々獲得。これに加え、毎年他チームの主力選手や外国人選手を戦力過多になるまで獲得、その結果、前述の目玉選手以外は若い選手に出場機会が殆ど与えられず、プロスペクト選手も非常に限られています。田口がうまく育ったくらいですね。結果、上記で阪神が陥った、中堅選手を獲る→すぐに劣化が始まる→また中堅選手を獲る、のサイクルに嵌っており、今年のマギーを二塁で使ってしまう起用法や、球界の盟主巨人(笑)といつまでも謳っているだけに、勝利第一の至上命題からそうそうすぐには抜け出せないでしょう。また強奪を繰り返し、チームは強くなるかもしれませんが、巨人はそれでこそ倒しがいがあるのであり、育成モードになどシフトしないで結構です(笑)。清武体制のときは、若い選手がどんどん出てきていて脅威でしたが、このままでお願いします。

 

面白いのは巨人に似通った金満球団ソフトバンク。資金力にものを言わせ、F/Aや他球団の外国人選手、大リーグ選手を獲得しているのですが、毎年コンスタントにドラフトから一流選手を輩出しています。そして、ここ3年はジャスティス田中を除き高卒選手を指名し育成にドラフト戦略をシフトしています。これは、ドラフトを軸としたチーム作りのサイクルが上手く回っているからこそできることだと思います。F/Aや外国人選手は飽く迄足りないピースを補う形で行っており、基本:ドラフト・育成+補足:F/A・外国人でのチーム作りをすることにより、常にチームの軸をしっかり作りつつ、新陳代謝を繰り返しています。常に強いチームでい続けるからこそ、若い選手を下位打線やローテの6枚目で積極的に起用する余裕が生まれ、今の最強軍団ができあがっているのでしょうね。阪神もソフトバンクほどではないせよ、比較的資金に余裕のあるチームなので、チーム作りとして是非参考にしてほしいと思います。

 

そして、我らが阪神。ここ13年では巨人よりも主軸選手を輩出しておらず僅か9名、ヤクルトに次ぐ少なさです。しかも、秋山・中谷・岩貞とまだ主軸になりきれていない選手を含めた大甘採点でです。まあよくこれで毎年Aクラス争いしてきたなと思うのですが、前述の通り、F/Aや大リーグ選手を獲っては入れ替えを繰り返してきた結果であり、巨人のことを批判できない状況です。

 

しかし、心配するなかれ。阪神は金本体制に入り既に育成に舵を切っています。このリストには入っていませんが、去年・今年と積極的に経験を積ませてもらい、レギュラーまで後一歩の選手たちが成長すれば、チーム基盤はしっかりとしてきます。今はまだその黎明期です。候補としては、既に上記リスト入っている中では高山・岩貞・藤浪・秋山・中谷、これに加え野手では大山・北條・糸原・原口・植田・梅野・坂本、投手では小野・青柳・横山・岩崎・石崎・望月・才木、といつ一流選手の道を走り出してもおかしくないプロスペクトたちに溢れています(まあ、贔屓チームなので甘い評価ですが(笑))。

 

そして、彼らが成長するためにはソフトバンクのようにチームが強くあり続ける必要があります。矛盾しているようですが、チームとして負け癖がついてしまうと、いくら個人成績がよくなろうと、勝負所、球際で勝つことができなくなり負け癖がついてしまい、低迷デフレスパイラルに陥ってしまうからです。そして、強いチームで居続ければ、チーム状況に余裕ができ若い選手を積極的に起用することが可能となるからです。

 

例えば、5番打者が不在のチームであれば、若手の経験・技術不足の選手に重要な打順を任せるよりも、勝つために外国人選手を優先して使ってしまうでしょう。先発投手もしかり、ポテンシャルよりも5回3失点で纏められる経験を優先してしまうでしょう。勝負の世界ですので、まずは勝利が第一、その中で育成をしていくという相反するテーマに取り組んでいくためには、1-5番までの上位打線をしっかりと主軸で固め、下位打線で若手を試していく、4番手までのローテーションをしっかりと作り、谷間で若手投手を試していくことが重要です。そして競争に勝てば主軸への昇進が待っており、結果が出なければスタメン・ローテ落ち、二軍へとなります。

 

今年のソフトバンクは下位打線で上林を抜擢し、ローテ5-6番手で松本・石川等を抜擢、余裕がなければ長谷川・福田・摂津・中田・大隣、等の実績のある選手を起用したいところですが、磐石の打線と投手陣がそれを可能とさせました。

 

従い、管理人としてはF/A選手や外国人選手、大リーグ選手を獲得することは、強いチームを継続していく為には必要不可欠であり賛成の立場です。予算が限られている広島にはできない芸当ですので、この強みも使って差を縮めていくべきだと思います。但し、どこかのチームのように無闇やたらに乱獲するのではなく、飽く迄育成計画が順調に進まず、レギュラー選手が怪我や劣化していまい、戦力に穴が開いてしまった場合においてです。

 

例えば来年のローテは能見の年齢もあり、安心して任せられるのがメッセンジャーのみ。そのメッセンジャーも超ベテランの域。秋山は二年連続活躍できるか、藤浪・岩貞の復活できるか、小野・横山・青柳・竹安の成長があるかにかかっていますが、仮にF/Aで安心して任せられるローテ投手を取っても彼らを試す枠は十分にあり、彼らの成長機会を奪うことにはならないと考えます。

 

ソフトバンクのレベルに阪神が到達するのはまだ数年後の話だと思いますが、去年・今年と若手の大抜擢を繰り返した中でこの成績が出たのですから、来年は更なる飛躍を目指してほしいと思います。幸い、お手本になる一流選手が阪神にはまだ沢山いますので(鳥谷・糸井・福留・上本・大和、メッセンジャー・能見・藤川・高橋)、彼らが元気なうちに若手選手は一回優勝争い、そして優勝を味わい、強いチームの野球というのを覚えてほしいと思います。

 

⑤それでも超目玉にはアタックを!

 

上記の通り、10年を1サイクルとして育成計画を建てることを提唱しましたが、それは運よくその時期にいいドラフト候補がいればの話。②③と被りますが、その年に超目玉選手がいれば、それには是非アタックをしてほしいと思います。藤本がいたのに鳥谷を、古くはヒルトンがいるのに岡田を獲得したように。結局のところ、まあまあの選手を揃えたとしても、まあまあの成績になってしまうんですね。何故なら勝負を分ける終盤戦には相手もエース級投手を短い間隔で投入してきますし、CSや日本シリーズも然り。この勝負所でしっかりと勝ち切るためには、主軸選手の中に超一流(絶対的四番/エース/ストッパー、)がいる必要があります。彼らに任せておけばどうにかなるという期待感をもてるような。2003年/2005年の優勝時で言えば、エース井川、JFK(2005)、赤星・金本・今岡・矢野でしょう。正に絶対的な選手でした。ということで、10年に一度の超目玉選手がいる場合は現在の編成は無視し、果敢にアタックすることが、チーム力の向上には不可欠と考えています。現在の阪神の絶対的選手の候補は藤浪君あなたです。二年間足踏みしましたが、来年は阪神のそして球界の大エースとして君臨してくれることを説に願います。

ということで纏めると管理人が理想と考えるドラフトの基本戦略は以下の通り。

 

① 即戦力候補としてではなく育成選手としての指名

② まとまりよりポテンシャル重視の指名

③ 不足ポジションの補充より実力重視の指名

④ 10年を1サイクルとした計画的な主軸の育成

⑤ 超目玉選手には果敢にアタックを

 

次回は、上記を前提とした2017年の阪神のドラフト戦略を考察してみたいと思います。

 

可也長文になってしまいましたが、本日もご覧頂き有難うございました。

 

ご意見・ご批判何でも受け付けておりますので、気軽にコメントください!